無理をして生きてきた人 感想

無理をして生きてきた人 BOOK
無理をして生きてきた人

 加藤諦三氏の新作「 無理をして生きてきた人 」の紹介です。小さい頃に愛されなかった人がどう生きたらいいのかが説かれています。子供の頃からの生きづらさの原因を心理学をもとにして解き明かしています。
ここでも 苦悩能力 の大事さが強調されています。まずは不幸を受け入れることから、幸せになる第一歩が始まるということらしいです。
以下気になったところを上げてみます。

無理をして生きてきた人 感想

 無理をして生きてきた人

無理をして生きてきた人

ストレスのバッファーとなる絆感覚

愛されなかった人が成長するには、この絆感覚が重要らしいです。
SOC(sense of coherence) 心の一貫性という意味です。
自我の強さがストレスに対する耐性を高めるということです。
これがこの本のテーマだと加藤氏が言っています。
愛されなかった人も、この絆があれば成長できるということでしょう。

悩んでいるのはあなただけではない

本文の中にも出てきますが、この言葉は学生時代に友人から謂われたことです。
つまり、悩んでいるのは自分だけではないと気が付いたときに、意識のパラダイムシフトが起きるわけです。
所謂、マインドフルネスですね。
人が変わって見えるわけです。

不幸を受け入れる

これは新聞に乗っていた記事です。
気になったので、紹介してみます。
鈴木秀子という今年92歳の修道女の言葉に
「自分は愛されたことがなかったと思いこんでいる人のまわりには、とにかく嫌なことが起こりがちです。嫌なことが続くと恨みもたまってきます」(「中村元 慈しみの心」より)
というのがありました。
これを本書に沿っていうと、
愛されたことと、愛されなかったことを、しっかりと意識に上げる必要があるということでしょう。
親に愛されなくても、周りに全く愛されなかった人はいないでしょう。
不幸を受け入れるということは自分を受け入れるということ。
愛されなかったことを無意識に置いたままだと、人に対して無限の愛を求めることになります。
当然、満たされませんから敵意が生じます。
当然ろくなことが起きません。

引きこもりは依存性抑うつ反応

母親への独占欲を満たされていない子供は依存性抑うつ反応を示す。心理的なエネルギーが消耗するから、疲れた顔になる。加藤氏によると、これが引きこもりだそうです。
その結果、とにかく「心に深く残る敵意を発達させる」。
その隠された敵意が、その後の人生に姿を変えて表れてくるといいます。
こういう引きこもりの解説は初めてです。

苦悩能力の確立

不幸を受け入れるということは、親を恨まないということだそうです。
無意識の内に親への敵意を抱えていると成長できないといいます。
親を恨まないということは現実を受け入れるということでしょう。
そうすれば、成長のために何をすればいいかわかるというわけです。
シーベリーの「不幸を受け入れる」とはフランクルのいう 苦悩能力 とおなじなんですね。
親から愛されなかったという不幸を受け入れた時に、心の成長がスタートする。
恨みつらみになった時、成長が止まり心は退行を始める。
そうするとどんどん人との関係が悪化するということらしいです。
不幸を受け入れない人は、現実から逃げている人だそうです。

不幸を受け入れることと共同体感情

不幸を受け入れることと、共同体感情が芽生えることは、不可分なことである。
不幸を受け入れることで、人を理解できるようになる。
そこで、共同体感情が芽生える。
コミュニケーションを云々する前に、考えるべきことですね。

神経症とは意識と無意識が乖離していること

「現実の自分」と「理想の自分」乖離をなくすためには、視野を広げることであるそうです。
違った価値観の人と付き合う事が大事。つまりマインドフルネスですね。

弱さを受け入れる

神経症は弱さを嫌うそうです。
心の底で自分の弱さを知っているため、他人も弱い自分を受け入れてくれないと間違って思っているんですね。
不幸と弱さを受け入れれば幸せになれるということですね。

無理をして生きてきた人 を読んで変わったこと

今更ながら、小さいときの親から植え付けられた価値観の影響を感じます。
他人との付き合いで、弱さを受け入れられたり、話を聞いてくれたりと仰天したことが何度かあります。
この本によって視野が広がりそうです。  

まとめ

「私は生きるに値しない人間」という自己イメージを持たせたのは誰であるか?小さい頃のことを良く思い出してみることが、大事だと加藤氏は言います。
これを良く考えていたら、「悩んでいるのは自分だけではない」というのももっと深く理解できていたでしょう。
二十歳の頃の自分に教えたい言葉が散りばめられている本です。

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