「 テレフォン人生相談 ー心の仮面をはずそうー」 感想
こんにちはtakeです。
今日は 加藤諦三 著 「 テレフォン人生相談 ー心の仮面をはずそうー」 のご紹介です。
前回紹介したように加藤先生は早稲田大学名誉教授で社会心理学者、哲学者です。ラジオ人生相談を50年以上されており、本作はそこから誕生した2冊目の本です。
「人は生まれ落ちたときから親の無意識に反応し続けて成長する」
これは「はしがき」に書かれている言葉です。「無意識」というところがポイントですね。無意識を意識化することからすべてが始まる訳です。「本当の自分に気づく」ということを抜きには悩みは解決しません。「無意識」は様々な仮面を付けて現れてくるので意識化する必要があります。それを手助けするのがテレフォン人生相談というわけです。
以下にまとめてみました。
悩みは変装して表れる
人は悩みの変装に気が付かない
「テレホン人生相談」では多くの人が苦しみを訴える。しかし苦しみは非難を表現する手段であると加藤氏は言います。
悩みは自分が何に動かされているかがわかれば解決に向かう。悩みは怒りの変装である。
幼児期の口唇欲求や肛門欲求が満たされなかったことから、いつも心配を抱える精神状態になる。
人が自分本来のエネルギーを自己実現に向けるためには、口唇欲求、肛門欲求等の幼児的願望をまず満たしていなければいけない。
「本当の自分に気づく」ということを抜きには悩みは解決しない。
しかしながら、幼児期の欲求を今から満たすことは不可能です。
求めることを諦めることが大事
「愛を求める気持ち」を断念することが悩みの根を断ち切ることになるそうです。
本書の中で「”求むる”あれば万事休す」という良寛の言葉を紹介しています。これが悩み解決の肝ですね。
その方法として、何か一つを好きになることは、自発性を持つことであり、悩みからも解放されるとしています。
自分が相手を好きか、嫌いかで判断する
自己陶酔と自己憐憫はの日本の演歌の最大のテーマであるとディスっています。これは自分からの逃避だそうです。
自分の方が相手を好きか、嫌いかということを問題にすれば、人と接することはそれほどストレスにならないはず。
受け身の姿勢でいることが、自分の心の中で相手を重要な人間にしてしまうわけです。
悩みの変装パターン
過去からたまった怒りへの変装
小さい頃から無意識に敵意を抑圧し続けていると、敵意がその敵意の対象から乖離して一般化していく。
隠された怒りと隠された嫌悪感が無意識下にあるため、自分にあるものを数えないで、自分にないものを数える。
過干渉という変装は子供を痛めつける
「あなたさえ幸せになってくれれば私はどうでもいいの」は大嘘であり、自分の人生が行き詰ったので他人を人生を巻き込んで自分の人生を活性化しようとしているといいます。
そこで子供との接し方を次のように説明しています。
この3つがセットになって初めて人を動かせる
- まず心をくみ取る
- 次に教える
- 最後にフォローする
苦しみは誰かへの非難へと変装する
無気力な人は、どこで無気力を学習してしまったのか、これを探るのが幸福への秘訣と言えます。
楽観的であろうとする心理的特性、つまり希望とコントロールの感覚が、健康にとって重要である。
神経症者の過度の被害者意識は攻撃性が「変装」した意識です。
変装した憎しみを我慢してしまうと…
愛されないで育った人は、誰でもいいからとにかく愛されたい。認められたからい、好かれたいから怒りや憎しみを直接表現できず、関係が壊れることを何よりも怖がる。
「悩み」は「変装した憎しみ」である。
友達がいないと思っている人は、必ず、自分に原因があると思っている。
悩みとは真の願望の姿
「この苦しみは自分の何が変装しているのか」と考えることを忘れてはいけない。
無意識の領域の大きさが、その人の在り方を変えていく。
抑圧の恐ろしさを知っておく。
自分が何に動かされているかがわかれば多くの「悩み」は解決する。
「人が自発的に抑圧を実行した時、いかなる絶縁が行われようとも、それと引き替えに結果が出ます。人格には影響が出ます。」 by ジョージ・ウェインバーグ
自分という存在がなくなっていく
自分で感じ、自分で体験し、自分で考える生活を積み上げることで、自我は確立される。
変装に惑わされずに本来の自分を知るために
憎しみ・怒りの7つの変装パターン
- 陽気さ 心の底に憎しみがある
- 惨めさの誇示 怒りが変装した間接的表現
- 復習的になる 1.2の結果、相手に認めてもらえないと、裏に隠されている攻撃性が頭をもたげてくる
- 愛 隠された怒りを持っている愛
- 攻撃的不安 子供が優先的扱いを受けるための弱さの誇示が無効な時に攻撃性を持つ 攻撃的不安があると自分が優位に立ちたいという願望が増幅する 依存心の強い人の攻撃性は「人を助ける」という形に変装して表れる
- 「べき」の暴君 憎しみと怒りが変装して表れた姿
- 嫉妬や妬み 心の奥底の怒りから発して、ひがんだり、妬んだりという感情に浸って抜け出せない
認めたたくないことを認めるときに、人は成長する。人格の統合性が強まり、本当のエネルギーが湧いてくる。
無関心な親に育てれれた人の周りには不思議なほどずるい人が集まる
神経症へのコース
屈辱体験→基本的不安感→自己栄光化→自己実現に失敗→心の触れ合いを失う→神経症
人生の途中で本当に「ありのままの自分」を否定したのは誰であったか、それに気づくのが成長
自己の意識領域を拡大してみる
「ありのままの自分に価値があるのだ」と感じて生きる。
マイナスの感情に苦しむとき、社会的業績で乗り越えようとする人がいる。一方、「これは自分にとって重要な学びかもしれない」と考え始める人がいる。
逆境に強い人は成長と退行の葛藤の中にありながらも、成長への願望を持って不安に立ち向かっていく。
成長するということは困難に直面していくこと。不安に満ちた現実から逃げないことが、人を助ける。
打ち明ける力が心の仮面をはずす
人生を貧しくする劣等感
悩みの核の大きな要因は劣等感である。これが人から物事への関心と興味を奪い、人生を貧しくする。
自分の価値を他人に頼れば頼るほど、自分を卑しめる機会が増える。
自分が憂鬱になった原因は自分の価値を他人に頼る心の姿勢にある。
犠牲を払うから幸せになれない。
幸せな人の特徴
- 望ましい人間関係を持つ
- 適切な目的を持つ
- 楽観的な考えをする
生産的構えの人と非生産的構えの人
生産的構えの人は自分で問題を解決する意思がある人
非生産的構えの人は外に原因を押し付け、援助者を必要とする
したがって非生産的構えの人は生産的構えの人にたいして非常に不快な感情が沸き起こる
幸せになれない人の特徴
- 非生産的な構えを持つ
- 悲観主義的解釈をする
- 問題解決の意思はない
体と感情からメッセージ
感情の変装は心の健康にとって、極めて有害。
体や感情のメッセージを遮断すると、心と体のバランスが崩れる
ACE(Attend,connect,Express)=注意を向け、それを意識し、表現する)であれば、自己実現がより現実に近づく。
人生で一番価値のある能力
変装しない能力こそ人生を救う。
健康を改善した人は、常に不安や悲しみなどの感情を放出している人。
書くことにより心理的に気分が良くなるだけではなく、免疫力を高め、肉体的な健康につながる。
心の内側を書くことで人は癒やされる
不屈の精神でストレスに耐えられる
不屈の精神とは3つのC
commitmennt:ストレスがあっても積極的に取り組む気持ちを持つ
control:その状況をコントロールして生活を管理する
challenge:問題を乗り越えるべき努力を目標とする挑戦する精神を持っている
感情表現で変装しないこと
自分の感情に注意を払い、それを意識に結びつけて、そして意識した感情を表現する。このことで私たちはバランスのある心身を維持できる。
不安なときに引きこもるのは「誰にも彼にも腹を立てている」状態である。
不安を逃れる一つの方法が「否定すること」である。
あなたの感情表現とは?
ストレスや感情というサインを正しく認識するACE要因を持った性質こそ大切である(フランクル)。
ACE性格とは自分を正しく理解するという性格。
免疫性格とは不愉快な感情と本当の原因がつながったときスッキリする性格。書くことで免疫性格になることもできる。
悩み解決の糸口へ
自分がどういう人間であり、他人がどういう人間であるかに気づき、それを認めれば、かなりの悩みは解決する。
感情の本質は仮面をかぶって現れる。しかし、相手の立場に立って考えると気がつくことが多い。
自分の受けた被害を強調する人は「怒りの表現」と「愛を求めること」を同時に行おうとしている。
意識と無意識の乖離が起きているナルシストは他人に関心がないから、自分が今接している人がどういう人なのかかわからない。自分と相手の関係がわからない。
自分は誰と友だちになりたいのか、自分は誰が好きなのか、ということをしっかり考える。
ナルシストは業績で褒めてもらいたい。でもその仕事自体が好きではない。自分にとってさえ不気味な自分、気味の悪い自分、そんな自分を自分で認めるわけにはいかないのが「抑圧」である。
「抑圧」した心は変装して現れる。
まとめ
悩みの本質はその悩んでいること自体にはないということですね。悩みを解決するにはその抑圧した心が変装して現れていることに気が付かなければいけません。
その為には、愛されることを断念して自分基準で誰と友だちになりたいか、自分は誰が好きなのか考える。自分で感じ、体験し考えることで自我が確立するというわけです。
そして書くことがその重要な手段になるということです。
参考になりましたでしょうか。
次の本も紹介しています。加藤諦三 「心の重荷の降ろしかた」感想
絶望から抜け出す心理学 心をひらく マインドフルネス な生き方 感想
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