加藤諦三 ブレない心のつくり方 感想
本の紹介です。
この本は 加藤諦三 氏の新作ではなく、2018年2月に出版された「人生を後悔することになる人・ならない人」を改題し、加筆修正され文庫化されたものです。
冒頭に50年以上されているラジオ人生相談の言葉が掲げられています。
あなたの認めたくないものはなんですか?(ジョージ・ウエインバーグ)
どんなに辛くてもそれを認めれば道は開けます。
加藤氏は
人間は常に退行欲求と成長欲求の葛藤にさらされているといいます。
退行欲求を選択し続ければ、行き着く先は地獄であるとも。
「自分自身であること」は幸せになるための絶対条件。
多くの人は幸せより安心を求めて「自分自身であること」を放棄するといいます。
「苦悩能力」(フランクル)があるから、人は正面から苦しめるそうです。
加藤諦三 ブレない心のつくり方 感想
先哲の言葉を引用しながら、どうやって成長に向かうかを延々と説かれています。
表紙とタイトルはよくある自己啓発本みたいです。しかし中身は超硬派です。
以下に要約してみました。
- 人生は退行欲求と成長欲求の戦い
- 依存心から敵意が生まれる
- 本当の自分の感情を知ることが大事
- 毎日を精一杯生きることが自分自身になること
アドラーの「苦しみは開放と救済に通じる」という言葉が何度も出てきます。
「目の前の現実に向き合うこと」、「目の前の現実から逃げないこと」が本書では延々と説かれています。
それが不安、悩み、苦しみを軽くし「不幸感」を薄めていくきっかけになり得るといいます。
小さい頃、愛されなかった人は無意識に敵意を持ってしまう。依存心があると敵意が生まれるんですね。これがコミュニケーションの妨害になるし、現実を認めることの障害になるということらしいです。
自分の無意識にある不安や恐怖感を意識化し、しっかりと自覚することである。
「本来の自分」を裏切る、この抑圧から不安が生ずる。
だから、自分の中にある不安や恐怖感を意識すると何をするべきかが分かる。
神経症者は成功を求める。これは退行欲求に従った行為です。とても安易な解決策です。これでは問題は何も解決しません。
毎日起きる問題を一つ一つ解決することが母なるものを与えてくれる。成長するには愛されなかったことから生ずる不安を意識して、その上で努力するしかないということではないでしょうか。
これがフランクルの言う「苦悩能力」ということでしょう。
苦悩することで自分自身になるということでしょう。
人生の課題は「退行欲求」からの解放であると加藤氏は言います。
「どこまで母親固着から開放されるかが、どこまで自分自身になれるということ」であり、自分の人生に課された課題を一つ一つ解決していくことが「自分自身になること」だそうです。
母親から愛されなかった人は、母親固着からなかなかか開放されない。
大人になれば退行欲求はなかなか満たされない。そこから怒りが生じ、敵意となり、攻撃性となるそうです。
劣等感と向き合うことなく、優越感も持つことで、劣等感を癒そうとするのが、「苦しみから逃げる」ということだそうです。
心に傷があった時には、小さなことを一つ一つクリアーしていくこと、その体験が母の力を与えてくれるといいます。
人類究極の知恵は、「逃げるな」だそうです。
苦しみは成長と救済に通じる。それは自我価値の防衛をしないことなんですね。
不安を解決しようと努力して本当に解決するには、不安を感じた時に、「自分は自分に何を隠しているのか?」を問いかける努力をすることだそうです。
まとめ
学生時代に恩師が「大人になるということは大変なことだ」と言っていました。この本を読んでこういうことだったのかと、今頃になって気が付きました。不安から目を逸らさず向き合うことが第一歩みたいです。成長するには好きなことを見付けて地道にコツコツと努力することが大事みたいです。青年期の課題である「興味の覚醒」ですね。全然まとまっていませんが、難解な本ですので理解の助けになればと思います。
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